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[特別記事]ブラインドサッカー審判対談(前編)

2016/06/11 | <<一覧に戻る

第15回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権 特別コンテンツ

第15回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権の開幕まで、いよいよあと1カ月と迫った6月某日、大舞台のピッチに立つ審判団が都内某所に集結した。高木和男、松田統、吉田豊宏、荒牧和希、山福寛明━━。いずれもサッカーやフットサルなどでの審判経験を活かし、今では国際試合のピッチにも立つ経験豊富なベテランだ。そんな5人に、ブラインドサッカーをジャッジする醍醐味や、アスリートに最も近い立ち位置から見た競技の魅力について、あますことなく語っていただいた。前・後編の2回にわたってお届けする。(敬称略)

 

━━本日はお集まりいただき、ありがとうございます。最初に皆さんがブラインドサッカーの審判を始めたきっかけを教えてください。

荒牧:10年ほど前、当時のブラインドサッカーは今ほど知名度もない中で、(協会の)井口健司さんに誘われ、審判の講習会に出たのがきっかけでした。それまでは視覚障がい者の自立支援をする仕事をしていましたが、ブラインドサッカーの審判は、競技をしている人たちのためにかかわっています。それが自分にとっては刺激的で、今に至っています。

山福:初めてブラインドサッカーにかかわったのは、大会のボランティアでした。フィールドの外の一番近いところで見ていたけれど、中に入ってもっと近いところでかかわりたい、と思ったのが審判になったきっかけです。その20年くらい前からサッカーの審判ライセンスを持っていたし、始めた当初は審判の数も少なく、チームの選手や監督、コーチを掛け持ちしていたので、少しでも彼らの負荷を減らしたいという思いでした。

高木:(今大会のメインサポーターである)アクサに勤めていて、7~8年くらい前からブラインドサッカーにかかわっていました。それまでサッカーやフットサルの審判もやっていて、3年くらい前にブラインドサッカーの審判ライセンスを取らないかという誘いを受け、会社に日本代表として活躍していた選手がいたこともあり、サポートできればという思いでやっています。

松田: 1993年から少年サッカーチームで監督や代表をやっていた関係で、レフェリーもやっていました。2013年に高木さんから、「松田さん、一緒に東京パラリンピックへ行こうよ」と誘ってもらい、始めました。

吉田:私は松田さんから無理やり誘われて(笑)。1日目にして、「もうこんなレフェリーは来ないでくれ」と言われたこともありました。その日の夜、高木さんとお酒を飲んで「頼むから辞めないでくれ」と(笑)。大きな転機となったのは、新宿区でスポーツ推進委員を担っていた関係で協会の方からヨーロッパ選手権を視察する機会をいただいたことです。そこで見た選手たちは本物のアスリートで、レベルが高いだけでなく、レフェリーとものすごく良好な関係を築いている。こういう風にならないと、日本のブラインドサッカーは強くならないし、競技者も楽しくならないと思いました。競技者を楽しくするのがレフェリーのひとつ大事な役目だな、と。そう意識しながらやるようになってから、競技者との壁がなくなっていった感覚があります。

 

━━試合を公平に、円滑に進めていくためにどんな取り組みや準備、心構えをしていますか?

高木:集まって定期的にミーティングを開いたり、大会前に審判講習会を行っています。世界選手権やアジア選手権の分析用ビデオを作成し、みんなで見るなどしてルールの徹底を図っています。

松田:ちゃんと競技規則にのっとってジャッジをすること。そうすることで選手たちから信用を得るように努めています。吉田さんは試合前日に飲み過ぎないとかだよね。それに生ガキを食べない。前に痛い目にあったよね?

吉田:私が痛い目にあったわけではないです(笑)。別の審判機会で後輩が痛い目に遭って、それを私が叱った手前、そういう目に遭わないようにしています。

 

━━競技者の中には、日本代表レベルのアスリートから、生涯スポーツとの位置づけで競技を楽しむ方まで幅広い層がいて、意識も選手それぞれです。選手の意識レベルやルールへの理解度の違いからくる難しさや、工夫されていることはありますか?

山福:選手がけがしないようにすることです。フィジカルや技術に違いがある場合、衝突するけがの危険があるので、そこは気をつけながらジャッジしています。逆に代表選手同士が同じレベルでガチガチやっているときは、そのままやらせています。

高木:ほかのスポーツでも同じだと思いますが、競技のルールは社会人でも小学生でも一緒です。ただ、今日は「教育だな」というときもあるので、何か起きそうだなと思うときはきちんと事前に説明するようにはしています。

 

━━選手たちが視界を遮られているブラインドサッカーならではの難しさは、どんなところにありますか?

高木:きちんと言葉で伝えないと分からない、というのはあります。

荒牧:一番怖いのは、やはり接触。特に疲れている試合終盤の時間帯は選手同士の声の量も減り、ぶつかりやすいので気を付けている。

松田:あらかじめ「手を出すな」「ファウルするなよ」と声をかけるようにしています。レフェリーは何のためにいるかと言えば、(選手たちへの)安全、公正、そして最後は楽しんでもらうためですから。(お互い目が見えない中で)選手の安全を脅かし、けがをさせるのは選手だったりするから、審判がコントロールしていくべきなのです。

 

━━ブラインドサッカーの審判として、どんなところに醍醐味を感じていますか?

吉田:試合の醍醐味そのものだと思います。得点が入ってみんなが喜ぶ瞬間は、レフェリーもうれしいし、選手には「よくぞ入れてくれた」という気持ちでゴールの笛を吹いています。

高木:選手たちにとって「安全・公正・楽しい」試合ができれば、審判としていい試合だったと言えるのじゃないでしょうか。特にブラインドサッカーの場合は、安全面で晴眼者のスポーツに比べて難しいところがあるので、そこを維持できるかです。

荒牧:一般的に障がい者当事者からはケアをしてほしいという声が多い中、選手の皆さんは勝負をしたいということで、けがを覚悟の上で勇気をもって競技をしている。それと、審判をやってみて刺激的だと思うのは、自分の笛で試合が終わって、そこで勝者と敗者ができて、それぞれの感情で涙を流す、というのが一番の醍醐味だと思います。

 

(後編に続く)

 

大会概要

タイトル:第15回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権
日程:2016年7月9日(土)〜10日(日)(決勝および三位決定戦(10日・大会2日目)のみ有料席あり)
会場:アミノバイタルフィールド
主催:NPO法人日本ブラインドサッカー協会
メインパートナー:アクサ生命保険株式会社 アクサ損害保険株式会社 アクサダイレクト生命保険株式会社
大会事務局:NPO法人日本ブラインドサッカー協会(〒169-0073 東京都新宿区百人町1-23-7 新宿酒販会館2階)

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